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FIT PLACE24に対する消費者被害防止のための申し入れの内容を解説

2024年3月21日、フィジーク選手としても活躍するフィットネス系YouTuberの山澤礼明さんが社長として運営を行っているジム「FIT PLACE24」に対して、「消費者被害防止のための申入れ」がされました。

 

FIT PLACE24は、月額2,980円という破格の安さを売りにしている全国チェーンフィットネスジムです。現在約70店舗の展開が確定しており、山澤礼明さんの知名度も相まってジム業界を破竹の勢いで制覇しようとしています。

 

 

 

しかしそんなFIT PLACE24に対して、「料金体制が不透明である」という指摘や、「月額2,980円は嘘じゃないのか」などの意見も多く見られていました。そんな中今回、利用規約の内容に関して「消費者被害防止のための申入れ」がなされました。

 

 

一体どんな内容なのでしょうか。分かりにくい法律などの部分も含めて、完全解説します。

 

 

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消費者被害防止のための申入れ

今回、山澤礼明さんが社長を務める株式会社FIT PLACEに対して申入れを行ったのは、「特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海」。

 

この団体は、愛知県を中心に東海三県の消費者被害の未然防止・拡大防止のための活動を行っている団体です。これまでもフィットネスクラブや美容クリニックなどに対し、利用規約改善を求めるなどの「申し入れ」を行い、消費者を守るための改善を促してきたようです。

ホームページ

消費者被害防止ネットワーク東海 | 東海エリアの適格消費者団体

 

 

そして、2024年3月19日付でフィットネス系YouTuberの山澤礼明さんが社長を務める、株式会社FIT PLACEに対し申入書が送付されました。

https://cnt.or.jp/conts/wp-content/uploads/2024/03/d717d45bf9697f66b44bebd346337173.pdf

 

9つの申入れ

FIT PLACEに対する申入れの概要はこのように書かれています

 

同社が使用している利用規約につき、今般、消費者保護の観点から検討した結果、消費者契約法に鑑み、消費者の利益を害し不当ないし不適切と思われる記載がありました。

 

つまり、FIT PLACE24の利用規約の内容が、消費者保護の観点から問題があるという事。これが本当なら、FIT PLACE24はすぐにでも利用規約を改正する必要がありますし、イメージの低下につながるかもしれませんね。

 

そして、「申入れ」は、9つのポイントに分けられていました。ざっくり説明すると、FIT PLACE24の利用規約に消費者契約法違反の条項がいくつかあったという内容。

 

ここから個別にその内容を見ていきます。

 

その1

利用規約6条3項・7条3項・14条3項が消費者契約法違反

 

FIT PLACE24では、利用規約「6条3項・7条3項・14条3項」の中で、すでに支払った利用料を、理由を問わず一切返金しないと規定しています。

ここが、消費者契約法9条1項1号及び10条に反しており、この条文は無効であるとして、法令に適合するよう変更を促しています。

 

つまり、理由を問わず利用料を返金しないというFIT PLACE24の規約は、法令違反であるという指摘です。

 

その2

6条4項・21条が民法違反

 

FIT PLACE24の利用規約6条4項及び21条では、株式会社FIT PLACEが自由なタイミングかつ自由な内容で、利用規約を変更できるとしています。 しかし、民法によれば「定型約款(利用規約)の変更は、消費者の利益に適合しながら変更の必要性がある場合に、適切な方法により必ず消費者に周知(知らせる)しなければならない」としています。

 

つまり、勝手なタイミングで自由に利用規約を変更できるような書き方をしている、FIT PLACE24の利用規約には、非常に問題があるという指摘なのです。

 

その3

9条2項が消費者契約法違反

 

FIT PLACE24の利用規約9条では、利用禁止を命じられた会員に対しても、禁止中も会費、その他利用料やオプション料などを支払う必要があるとしています。 この点に関して、消費者の義務を加重する条項であり(消費者への負担が重い)、消費者の利益を一方的に害するとして、消費者契約法10条違反であると考えられます。

 

つまり、利用制限をかけられた会員に対して、禁止期間中も会費やその他料金の支払いを求める条項は、消費者契約法違反であるという内容です。

 

その4

11条1項・5項が消費者契約法違反

 

FIT PLACE24の利用規約11条では、会員の退会についての内容を規定しています。条項によれば、退会は毎月15日までに行えばその月の利用料で済むが、16日以降に手続きを行えば翌月の会費も支払わなければならないとしています。

この点において、退会の効力発生時期(退会日)を遅らせる合理的な理由は見いだせず、退会理由の内容などを問わずに一律に翌月分の会費を負わせる点で、不合理に消費者の義務を加重しているとして、消費者契約法10条違反であるという指摘がなされました。

 

この④は、退会時期を意味なく延期させて会費を過剰に負担させる利用規約は、不合理であり消費者契約法10条違反であるという内容です。

 

その5

11条9項が消費者契約法違反

 

FIT PLACE24の利用規約では、「プレミアム会員(2,980円)」「スタンダード会員(3,980円)」「ライト会員(4,980円)」の3つのパターンの会員が設定されています。しかし、広告表示等に重要な違約金の説明が表示されておらず、その違約金の設定額においても、問題があったようです。 プレミアム会員は12か月以内の退会で13,200円の違約金、スタンダード会員は6か月以内の退会で6,600円の違約金がかかります。しかし、これではプレミアム会員が7か月以内に退会した場合とスタンダード会員が5か月で退会した場合、ライト会員の方がお得になってしまう計算なのです。

 

消費者契約法に乗っ取るなら、損害賠償の額は退会月までの割引相当額であると考えられるため、スタンダード会員の方がお得になるほどの違約金を設けているこの利用規約は違反であるというわけです。

 

その6

16条1項及び17条が消費者契約法違反

 

利用規約16条及び17条では、災害・気象の影響や行政指導に至るまであらゆる理由によるサービスの制限(ジムを利用できないなど)があった場合でも、消費者側から利用料の減額や返金は一切求めることができないと設定しています。

 

この点は、明らかに消費者の利益を一方的に阻害するため、消費者契約法違反となってしまっています。ジムの契約は互いに義務を負う契約であるため、消費者に責任がないのにジムの利用を制限する場合などは、相応の対応が必要です。しかしFIT PLACE24の利用規約では、そうした場合でも一切の返金や減額ができないという事で、この点において利用規約の改正を求めているのです。

 

その7

18条1項及び19条3項が消費者契約法違反

 

FIT PLACE24の規約18条1項と19条3項では、ジム利用にあたって発生した紛失や盗難や傷害・事故などに関して、故意または重過失の場合を除いて一切の責任を負わないとしています。そして、サービス終了の場合も何ら責任を負わないとしています。

 

ここは、シンプルに消費者契約法の内容に違反したことが書いてあります。消費者契約法では、軽過失の場合でも全部免除条項(責任を負わない条項)を無効であるとしています。また、サービス終了の理由が会社側に問題があった場合でも「なんら責任を負わない」という内容は、消費者契約法によって無効であり違反となります。

 

その8

22条から、「専属的」という言葉を削除せよ

 

8番は少し難しい内容ですが、裁判所についての内容となっています。FIT PLACE24ではこのような規約があります。

「当社又は運営会社と会員との間で訴訟の必要が生じた場合、東京地方裁判所または東京簡易裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。」

 

これはつまり、顧客と裁判を行う場合は必ず東京の裁判所を利用するという事です。FIT PLACE24は全国展開をしているジムであり、東京都以外の顧客との間で裁判を行う可能性があるのに、こうした条項を設定するのは消費者契約法違反であるという事です。 そのため、「専属的」という言葉を無くす必要があるという事です。

 

その9

ホームページに、違約金の定めの有無と額を表示せよ

 

最後の申し入れは、ホームページの表示を変更するべきという内容です。

 



 

簡単に説明すると、画面1には最も重要な違約金の事項を記載していないことが問題であるという事。そして、画面2で使用「全国のフィットネスジム使用料/月平均」は、「プール設備等も有する施設」のデータであり、FIT PLACE24と比較することは不適切であり、FIT PLACE24の料金体制を誤認させるような表記をしているという内容です。

確かに、このデータや表示だけを見れば、違約金等の内容を確認できず、FIT PLACE24の料金について正確にとらえることができないですよね。ここは問題だと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

FIT PLACE24に関しては業界最安値でありながら、充実した設備が特徴でしたが、利用規約に関してここまで問題があったなんて驚きですよね。

 

明らかに法律違反の条項もありましたから、利用規約を作成する際に法律に関して注意深く精査を行っていなかった可能性があります。山澤礼明さんは有名なインフルエンサーでもありますから、法律をしっかり遵守した規約を作成してほしいですよね。

 

ただ、FIT PLACE24派ジム業界を引っ張っていく存在ではありますから、これからも目が離せません。