先日ブラジルで行われたあるボディビルのコンテストが賛否両論の議論を呼びました。
上記インスタグラムの彼。
彼は男性であり、女性ではありません。しかし、フィジークやボディビルといった男性カテゴリーのポーズもしていません。
この競技は、「Men's Wellness(メンズウェルネス)」と呼ばれるジャンル。もちろん昔からある種目ではありません。
2024年のフィットネス界を騒がせているこの競技は一体どういったコンテストジャンルなのでしょうか。情報をまとめてみました。
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Men's Wellness(メンズウェルネス)
画像はインスタから引用
メンズウェルネスは、2024年2月12日にブラジルで開催された「Roraima Classic(ロライマクラシック)」で初めて採用されたボディビル競技のカテゴリーです。
「Wellness(ウェルネス)」はFWJでは2021年から導入された女性向けのボディビルジャンル。女性らしい身体をベースとしながら、下半身の筋肉のサイズも重要な評価のポイントとなる、「フィギュア」と「ビキニ」の中間地点に位置するカテゴリーです。
「メンズウェルネス」は、そうした「ウェルネス」の評価基準をもったコンテストを女性ではなく男性が行うというもの。メンズウェルネスのコンテストが、史上初めてブラジルで行われ、ネット上やフィットネス界で議論が巻き起こったのです。
ちなみに優勝したのは、「San Moraes(サン・モラエス)」という選手。彼は、世界で最初、そして現在唯一のメンズウェルネスの選手です。
なぜこのようなジャンルが生まれたのか
このカテゴリーはいかにして生まれたのでしょうか。
メンズウェルネスを初めてカテゴリー化した「Roraima Classic」によればその理由として、 「女性としての心を持っている男性に対して、ボディビル競技に参加する機会を与える」という点と、 「男性は男性と、女性は女性と同じ性別で競技を行えるように」という点で説明されていました。
つまり、 「生物学的に身体が男性である人が、生物学的に女性である人と同じカテゴリーに含まれることを防ぐため」なのです。この点に関しては、その他スポーツでも問題になっています。
男性と女性では身体能力に大きな差があります。
そのため心が女性である男性が、女性カテゴリーにエントリーして女性と競技を行うと、身体的に男性であるほうが非常に有利に競技を行えてしまうのです。その一例として、女性カテゴリーで男性が世界記録を更新してしまうという事があるほどです。そのため、心と身体の性別が違う人へのスポーツ参加をどうするべきかは、スポーツ界全体で非常に議論されてきました。
今回メンズウェルネスというカテゴリーを設立した「Roraima Clasicc」は、上記のような理由をもってして女性カテゴリーを守るため。また、性別による不利な状況を作らないためでもあるという意図の投稿を、インスタグラムにしています。
IFBBやその他団体で採用されるのか
「Men's Wellness(メンズウェルネス)」は今後、世界的に規模の大きいIFBBやNPC、日本最大級JBBFといった有名ボディビル団体で正式なカテゴリーとして採用される可能性はあるのでしょうか。
おそらく可能性は限りなく低いでしょう。
IFBBやJBBFといった大規模な団体では、カテゴリーをプロモーター(運営側)が勝手に新設することは基本的にできません。ボディビルが始まって以降新設されてきた「フィジーク」や「クラシックフィジーク」、「ウェルネス」といった競技はそれ以前にそれなりの数の需要があり、かつその需要と人気を維持する必要があります。
また、ボディビル界の著名人はかなり批判的な意見をしている場合が多いです。
現IFBBの副会長「タイラーマニオン」は、「メンズウェルネス」はIFBBやNPCには関係が無く、カテゴリー化することは無いと発言しており、また、レジェンド「ビクターマルティネス」は「メンズウェルネス」というカテゴリーは過剰であり、行き過ぎた多様なカテゴリー化は競争を薄めるとしています。
つまり、「メンズウェルネス」は現在ではたった一つの団体が採用しただけであって、過剰で行き過ぎた細分化を防ぐためにも必要であるかどうかは十分に議論しなければならないという事、とまとめることができます。
世間の反応
著名人の批判がある反面、この話題を取り上げたYouTuberの動画のコメント欄や、「San moraes」選手のインスタグラムのコメント欄などには、非常に肯定的な意見が多く見られ、批判的な意見はほとんど見られませんでした。
トランスの男が心は女です言うて女子スポーツに混ざるのとか終わってるから新しいカテゴリを作るのってwin-win的な感じでいいよな。
ちゃんと区別されてていいね。
好きな人は好きみたいなので、非公式からじわじわ広がってもおかしくはなさそうかなと思ってます。
肯定的な意見では、女性カテゴリーを守ることとトランスジェンダーの方への両方の配慮ができている点や、批判するほどの事ではないといった意見、シンプルに綺麗で美しいなどの意見が見られました。
一方で、肯定にも批判にも振り切らない意見も多かったです。
これ、結構需要あると思うで? 生粋のボディビルダーには不評かもしれないけれど…。
やりたい人いたらやるくらいでええんじゃない?
確かにこの話題はかなり難しい部分も多く、肯定否定を完全に行うのも難しそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の記事をまとめると
- 「メンズウェルネス」は男性が女性らしさを表現するカテゴリーで2024年にブラジルで初めて行われた。
- 「メンズウェルネス」は、トランスジェンダーの方に配慮すると同時に、女性カテゴリーを守るためでもある。
- 今後IFBBやNPCなどで採用される可能性は限りなく低い。
- 世間では比較的に肯定的な意見が多い
皆さんはどのような意見をお持ちですか。この問題はボディビルだけでなく、全スポーツで考えなければいけない話題だと言えるでしょう。。